(特集記事)「地域コミュニティ支援担当者会議 2025」開催レポート
私たち東京都つながり創生財団では、多文化共生社会づくりと共助社会づくりを通じて、人と人とのつながりを創り、地域コミュニティの活性化を図ることで、都民一人ひとりが輝く社会の実現を目指しています。
![]()
その取り組みの1つが、町会・自治会の活動支援を通じた地域の活性化です。町会・自治会は、防災、防犯、高齢者の見守りなど、地域コミュニティの中核として重要な役割を担ってきました。しかし、少子高齢化や家族のあり方、生活形態の多様化等に伴い、近隣住民との付き合いが減少。加入率の低下や役員の高齢化など、町会・自治会を取り巻く環境は、年々厳しさを増しています。
こうした状況を踏まえ、当財団では、区市町村の皆様と連携しながら、町会・自治会の抱えるさまざまな課題の解決に寄り添う支援事業を展開しています。その一環として、2025年12月19日、区市町村で町会・自治会等、地域活動の支援を担当する職員の皆様と、「地域コミュニティ支援担当者会議2025」を開催しました。
「個別相談支援」と「コンサルタント派遣」を軸にした伴走支援サポート
![]()
プログラムの第一部では、当財団が提供する「区市町村向け伴走支援サポート事業」について、説明を行いました。
財団担当者:本事業では、「個別相談支援」と「コンサルタント派遣」の二つのメニューを用意しています。「個別相談支援」では、区市町村が実施する町会・自治会向けの個別相談会について、周知や相談シートの作成支援を行うほか、当財団の職員が相談会に同席し、ヒアリングをサポートします。また、「コンサルタント派遣」では、相談会で見えてきた課題の解決に向け、コンサルタントを派遣し、より実践的な支援へとつなげていきます。
(※「コンサルタント派遣」については、①区市町村が実施する個別相談(会)に参加していること②相談内容がコンサルタント派遣によって対応できること③課題解決に向けて町会・自治会が主体的に取り組む意欲と体制があること、という3つの条件を満たす町会・自治会が支援対象となります。)
財団担当者:「コンサルタント派遣」で対応しているのは、「加入促進・担い手づくり」「デジタル活用」「多文化共生」の3つの分野です。「加入促進・担い手づくり」分野では、町会・自治会に対する住民のニーズを把握するためのアンケート調査が多く活用されています。調査を行うことで、改めて町会・自治会を知ってもらう広報効果も期待できます。今年度は、スマートフォンを活用したペーパーレスアンケートの導入や、回答を得やすい設問設計などを支援しました。「デジタル活用」分野では、回覧板・掲示板のデジタル化の第一歩として、幅広い世代で普及している「LINE」の活用をご提案するケースが増えています。そのほかにも、デジタル活用に向けたロードマップの作成など、さまざまな活用事例があります。
昭島市の事例から学ぶ。個別の課題に寄り添う伴走支援の実践
![]()
続いて、実際に伴走支援サポート事業を活用された、昭島市 市民部 生活コミュニティ課の山田課長に、これまでの取り組みについてお話しいただきました。 昭島市は、令和6年度に市制施行70周年を迎えた、人口11万6,000人を超える自治体です。 山田課長が昭島市の特徴として挙げたのは、「深層地下水100%の水道水」と「アキシマクジラ」。
山田課長:昭島市の自慢の1つが「水」です。都内で唯一、深層地下水のみを水源とする水道水を供給している自治体で、水道をひねればいつでもおいしい水を飲むことができる。もう1つは、約200万年前の古代のクジラ、「アキシマクジラ」の化石です。この存在にちなんで、市内のさまざまな場所でクジラのモチーフを見ることができます。
そんな昭島市ですが、やはり近年は町会・自治会の加入率低下が深刻な課題となっています。平成元年には71.1%だった加入率が、令和7年には26.9%まで減少しました。
山田課長:コロナ禍を経て、「町会・自治会を解散する」という話が、毎年いくつも持ち上がるようになっています。市内から町会・自治会がなくなってしまうのではないかという危機感を覚えていました。そんなときに、ご紹介いただいたのが、つながり創生財団の伴走支援サポート事業でした。
昭島市では、伴走支援サポート事業を活用し5つの自治会が相談会に参加。そのなかで4つの自治会がコンサルタント派遣を利用しています。たとえば、加入率低下に悩む自治会では、アンケート調査と自治会PRチラシの作成を組み合わせた取り組みを実施。このほかにも、回覧板のデジタル化、加入促進に向けた新規訪問時の応対シミュレーションの実施、自治会活動のDX化に向けたロードマップ策定など、町会・自治会ごとの課題に応じた支援が進められています。
山田課長:自治体としても、町会・自治会ごとの課題に応じた個別支援の重要性を強く感じています。ただ、私たち職員の知識や経験、人手だけでは、なかなか最初の一歩を踏み出せない、というのが実情でした。だからこそ、伴走支援サポート事業は非常に心強かったですね。財団職員やコンサルタントの皆様の豊富なノウハウをご提供いただくことで、私たち職員自身が成長できたという実感もあります。「町会・自治会を支援したいけれど、まずは何からすればいいのかわからない」と感じている自治体のご担当者様は、ぜひこの制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
自治体職員同士が学び合う情報交換の場
![]()
プログラムの第二部では、「町会・自治会が必要とするサポートとは?」をテーマに、参加者同士による情報交換を実施。グループごとに、マンション住民に対する加入促進策や、若い世代が参加しやすい雰囲気づくり、加入を促進するインセンティブなど、活発な議論が交わされました。
参加者からは「様々な視点から町会自治会支援をより良くしていくためのアイデアを聞けたのが新鮮だった」 「他自治体の方と話す機会はなかなかないので、良い機会でした。」 「自治体単独で自治会支援をするのは、人員ならびに予算にも制約があるため、つながり創生財団様と協働で実施できる事業の話を聞くことができ、とても参考になった」 といった声も聞かれ、各自治体、町会・自治会が抱える課題や事例を共有する貴重な機会となりました。
町会・自治会支援に求められる伴走の視点
本会議を通じて、町会・自治会を取り巻く課題は決して一様ではなく、地域ごと・団体ごとに異なること、それぞれの課題に寄り添った支援が求められるという認識が、あらためて共有されました。
けれども、山田課長のお話にあったとおり、町会・自治会を一番近くで支援している区市町村では、支援したいけれど人手やノウハウが足りず、なかなか踏み出せないといった実態もあります。私たちが区市町村と連携して、町会・自治会の課題解決につながる取り組みを支援することで、区市町村が伴走支援体制を構築していくきっかけになればと思っています。
東京都つながり創生財団では、今後も区市町村の皆様と連携しながら、町会・自治会の実情に寄り添った支援を進めるとともに、各地域の好事例を発信し、地域コミュニティの活性化につなげていきます。